前から気になっていたこの映画のあらすじは・・
隆(工藤阿須加)はブラック企業に勤めていて上司からのパワハラに心が折れてしまい、駅のホームで意識を失い電車にはねられそうになった。そこに山本(福士蒼汰)が現れ助けてくれる。しかも同級生だと言う。
ふたりは徐々に仲良くなっていき、山本のアドバイスで仕事も順調になっていくのだが、ある日、山本が同級生じゃないとわかり、死んでいる人間かもしれないと疑問に思い、山本のことを調べると意外な事実がわかり・・・という感じです。
ネタバレしちゃうと、亡くなっていたのは双子の弟で、隆と同じようにブラック企業で働いていて自殺をしていたのだ。それで同じように苦しんでいる隆をほっておけなかった。山本は弟との約束を果たすためにバヌアツへ。そしてラストには会社を辞めた隆もバヌアツへ。
原作と違うラストに賛否両論
原作は北川恵海さんの人気小説です。
黒木華演じる先輩が原作では男だったとか、養護施設の小池栄子が原作にはいなかったとか、細かい部分の相違はありますが、一番大きな違いはラストでしょう。
どうしてバヌアツに行ってしまったのか・・見ようによっては現実逃避ともとれてしまうので、人によって受け取り方が違ってくるでしょうね。
あの真っ青な海で笑顔で笑ってる隆を見て、よかったな~って心から思える人と、もうちょっと現実社会に立ち向かう姿を見せてほしかった・・と思う人と。
バヌアツは山本の夢であって隆の夢ではないのだから、ちょっとだけお手伝いするのはいいけど、ずっとそこにいるには違うのでは?って思ったり。助けてくれた山本への恩返しでやっているうちに、自分もそこが気に入り、子供たちに教えることが生きがいにがっていくのかな?って思ったり。
いろいろと考えさせられるラストではありましたが、私はどっちもありだと思うので、それほど気になりませんでした。
山本のさわやかな笑顔に救われます
福士蒼汰は好きでも嫌いでもないし、今回は関西弁なので違和感があるという人もいるけれど、私は関西人じゃないので気になりませんでした。とにかくあの満面の笑みには癒されました。
疲れきっていた隆の心を癒し、助けたのもあの笑顔でしたが、本当に今疲れている人に見てほしい映画です。
弱々しくて誠実な青年を演じさせたら本当に上手な工藤阿須加は、この役柄にピッタリはまっていて、福士蒼汰とのコンビもバッチリ!いい配役だったと思います。
上司の吉田鋼太郎、先輩の黒木華・・演技の上手な人ばかりで、見ごたえのある映画でした。
社訓見ただけで気分悪くなるわ
毎朝、大声で読まなければならない社訓が、とんでもないものでした。
- 不平不満を言わない社員になれ。
――じっと我慢し謙虚に受け止めよう。 - 自己管理を怠らない社員になれ。
――熱があろうと這ってでも出勤すべし。 - 遅刻は十分で千円の罰金。
- 有給なんていらない。体がなまるから。
- 言われなくてもできる社員になれ。
――効率を上げるため行動は迅速に。 - やる気旺盛な社員になれ。
――仕事の後も自分の課題解消に真剣に取り組め。 - 常に難しい仕事を狙う社員になれ。
――向上心を止めるな。成功してもまだまだと思え。 - やる気があるなら「はい」の二つ返事で仕事しろ。
- 上司の指示は神の指示。
- 心なんか捨てろ、折れる心がなければ耐えられる
これを見ただけでもブラック企業ってわかりますよね。こんな会社には一日だっていたくありません。
今からちょっと会社やめてくる!って言った顔は晴れ晴れとしていた
死ぬくらいなら会社なんか辞めればいいのに・・って思うけど、そう思えないぐらい追い込まれているんでしょうね。洗脳されてしまって心がなくなってしまう・・何も考えられなくなるのでしょうか。
主人公が遂に会社を辞める覚悟をして、実家の親に言う場面があります。言いにくそうに「会社やめようと思う」って決死の覚悟で言うんだけど、「若いんだからいっぱい失敗すればいい」って、父親にあっさり言われてしまいます。
そうなんですよね。親にしてみれば、子供が笑顔で生きていてくれたらそれでいい。苦しむ姿なんか見たくないのですから。子供が考えすぎて、親を悲しませたくないからやめられないっていうんだけど、それで死んでしまったら余計悲しませることに気づかないの?って不思議です。
一番悲しいのはいなくなることなので、とにかく生きていてくれたらいいんだと思います。
ですが、あの部長に会社を辞めるって言いだすことは、相当な勇気が必要だったでしょう。その壁を乗り越えることができて、本当に晴れ晴れとした顔をしていましたね。
山本に「ちょっと今から会社やめてくる!」って言った時の表情、部長に言えた時の表情は、本当に何もかも吹っ切れていて、これから何があったも大丈夫のように見えました。部長の苦し紛れの暴言にも怯まず、自分の言いたいことをいうことができて、とてもかっこよかったです。
「部長もたまには休んでください」って言ったり、いじわるした先輩にも優しい言葉をかけたり、すごく成長したなって思いました。
どんな生き方したっていい。生きてさえいれば。
会社がすべてじゃない。どんなことをしたって生きていける。自分の居場所はどこにだって見つけられる。
そんな当たり前のことすら考えられなくなることが心の病気ですよね。ブラックな環境にいると、心が死んでしまいます。そうなる前に逃げ出すことって大事ですね。
「逃げずに立ち向かえ」とか「逃げるのは卑怯だ」とか昔の人は言うけれど、私はサッサと逃げればいいと思います。ここは自分のいるべき場所じゃないと思えばね。次の場所に行けばいいだけだもの。
人生は限られた時間しかないんだから時間の無駄ですよね。
自分が楽しくハッピーになれる場所にできるだけいたいです。勿論、どうしてもそんな時ばっかりじゃないことはあります。介護しなきゃとか子育てが大変とか逃げられないこともあります。でも、そんな中にあっても、自分が心から楽しいと思える時間や場所があれば、乗り越えられることもあるのかも。
私も今まで数多くの苦労を乗り越えてきてるから、どんな苦労だって時間が経てば笑い話になるって言えるのです。
過去にとらわれず、今現在をどうやって生きるのか?未来をどうしたいのか?そのために今何をしたらいいのか?それだけを考えるようにしています。
そうすれば今の行動が変わりますよね。暗い気持ちで毎日ウジウジしている自分が嫌になりますよね。
笑顔で暮らせる環境を自分なりに作っていけたらいいのかなって思いました。
いろいろと考えさせてくれる映画でした。今苦しんでいる人に見てもらいたいです。そして誰もがみんな幸せになれたらいいなって思います。
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