「ダイイング・アイ」は東野圭吾には珍しいホラー系小説

東野圭吾さんの小説「ダイイング・アイ」を読みました。

東野圭吾と言えば、ドラマや映画になっている作品が多く、ファンも多い作家さんですね。私も大好きで小説も何冊か読んでいるし、ガリレオや百夜行、新参者、流星の絆などは大好きなドラマです。

何の予備知識もなく、この小説を読み始めたのですが、とても読みやすくて先が気になるのはさすが!一気に読み切ってしまいました。状況が目に浮かぶような細かい描写がすごいと思いました。

内容ですが、ネタばれしないように少し書きますと、ある交通事故を巡る人間模様・・そこから起きる新たな事件。犯人はだれなのか?そして謎の女はだれなのか?加害者が追い詰められていくうちに意外な方向に進んでいきます。そして思いがけないラストへと繋がっていくのです。

東野圭吾さんの作品は、人間味溢れるものが多く、加害者にも感情移入してしまうような背景があったり、どうしようもないやりきれなさを感じてしまったり、涙なしでは読めない感動作が多いですよね。

それらと比べると、この作品は私には少し物足りないかなという印象です。感動するというよりは、ちょっと背筋が寒くなるような感じで、怖いの苦手な人にとってはホラーと言えるかもしれません。ホラーは好きじゃない私ですが、イヤミス系が好きなので、読後感が悪いものは嫌いじゃないんです。だから、怖くはなかったけど考えさせられる作品でした。

途中までは面白かったけど、最後の展開でえ?ってなり、理解できる部分とできない部分がありました。死者の怨念の怖さを感じましたが、それだけでそんなことになっちゃうの?って不思議に思う部分もありました。ちょっと都合よすぎじゃない?と思ったり、無理矢理感がありました。

これは私の個人的な感想なので、すごくよかったと思う人もたくさんいると思います。小説なので、やはり現実味がない部分があっても仕方ないですよね。

この本を読んでよかったことは、交通事故を起こさないように気をつけよう!と更に強く思ったことです。今までも安全運転をしていますが、たった一度の不注意な事故のせいで何もかも失って、被害者の方やその周りの人は勿論、加害者やその周りの人の人生も変わってしまうのですから。

ひとりの人の命を奪ってしまったら、どんなに謝っても、どんなに償っても、本当の意味で許されることはないのです。どの人も大切な人なのですから。その時点で自分の人生も終わると思います。誰かの人生を奪うということは、それほど重いことなんですね。

このタイトルの「ダイイング・アイ」は、自転車に乗っていて車にはねられ息を引き取る間際の若い女性の瞳の強さを表しています。彼女の体を押しつぶした車を運転していた相手の顔を睨みつけ、「許さない、恨みぬいてやる、たとえ肉体が滅びても・・死にたくない」と心で叫びながら死んだ女性の目。

そして加害者に何かが起きるのですが、話が進むにつれ、加害者はひとりじゃないことがわかります。そして、単純な事故と思われたけど、実はその裏に秘密があったこともわかります。

上手に罪を逃れたと思っていても、神はそれを見逃さない・・とでも言うのでしょうか。被害者のダイイング・アイの怨念でしょうか。やはり、本当の悪人には天罰が下るのですね。悪いことはしたらいけない、嘘はついたらいけない、というのも強く思い知らされる話です。

そういう意味では、ちょっとした教育効果もあるのかも・・。乱暴な運転をしている人や嘘を平気でつくような人に読んでもらいたいと言える作品ですね。

やはり人間、真面目に正直に生きるのが一番!交通事故に遭遇しないように気をつけないといけない・・加害者にも被害者にもならないように一層の注意を払おう・・そんなことを思った作品でした。

それにしても、「目は口ほどにものを言う」という諺もあるように、目の力は大きいのですね。死に際に見つめられたらちょっと怖いかも・・。加害者じゃなくても、助けられなかったという負い目で心を病んでしまうかもしれません。そんな不幸なことが起きませんように・・。誰もがみんな幸せに生きられたらいいのにって月並みだけと思いました。

ちょっと暗い作品だったので、次は明るい作品を読みたいなって思います。

この作品は三浦春馬さん主演でドラマ化されています。見てみたいなって思います。

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